愛媛県今治市が広島県と一体で指定を受けた国家戦略特区を活用して目指している大学獣医学部誘致について、市が今治新都市第2地区の高等教育施設用地の無償譲渡を検討していることが10日分かった。2018年4月の開学を目標に、16年12月議会で用地購入関連費、17年3月議会で土地提供に関する議案を上程する計画という。
 複数の関係者によると、市は大学運営実施主体の公募に意欲を示す事業者に対し、すでに事業計画案策定のための施設用地(いこいの丘、16.8ヘクタール)のボーリング調査を許可している。
 現在は認められていない獣医学部新設のための文部科学省告示改正や運営事業者公募は政府主導だが、市は決定した事業者との来年1月の協定締結、3月の校舎起工などのスケジュール目標も立てている。
 現時点で公募に意欲を示している事業者からは、獣医学部と応用生命科学部の計4学科、全収容定員2100人のプランが提案されているという。市はプランに則し、大学施設整備の経済効果を約280億円、毎年の運営効果を約30億円と試算。誘致構想について「事業者に対しボーリングの事前着手は認めているが、ほかの内容について現時点ではコメントできない」としている。
 獣医学部の新設に向けて安倍晋三首相は9日、同特区諮問会議で制度見直しを表明した。市の構想が実現すれば、北里大が青森県に開設した1966年以来で、四国では初めてとなる。